籍を入れない理由

政治的に、婚姻というものが好きじゃないのは、戸籍制度が、家父長制の最たるものだからだ。

もともと、税や兵役のためにあったものが、素晴らしい伝統のように持ち上げられているが、日本と韓国以外にはないものだから、戸籍なんてなくていい。
現実的には、相続のときに関係者がすぐわかるという利便性はあるものの、非嫡出子差別がそれを帳消しにしている。


それに家族という柔らかいものを国に管理されるのは嫌だ。


家族の形は柔らかく変わる。

それを硬くしてしまうと、不具合が生じる。


わたしは、逃げたいときに、自分一人の気持ちで逃げられる自由を確保していたい。

婚姻届けを出してしまうと、別れるために、裁判をしなくてはいけなくなる。
紙一枚を挟んで、あれこれ話し合わなくてはならない。


わたしの父は愛人宅に移り住んで十年以上離婚しないまま、実質上の家族を他に作っていた。

そういうことがわたしはもういやだ。


わたしも、暴力を受けながら、たった一ヶ月のために、離婚に応じない相手方と裁判を一年以上した。

軟禁状態から逃げ出したときから、中絶を選んで、その間もそのあとも、さまざまな嫌がらせや中傷にあった。
去年も、堕胎罪に問われて、警察に呼ばれた。
5年たっていたのに。


結婚してしまっていたせいで、勝手に作られたクレジットカードの支払いに追われ、貯金をすべて失った。
致死量の薬を飲まされても、相手は罪に問われなかった。
朦朧としている間に妊娠した。
子供を産みたかったが、産んだあと、誘拐されたり、金をせびられることが考えられた。
一生付きまとわれるのはごめんだった。

籍をいれていなければ、逃げたあとの住所も知られなくてすんだし、脅迫状も来なかっただろう。
実際、離婚が成立したあとも、5年たっても、脅迫状は来たのだ。


一回でも籍をいれてしまえば、現在の住居地を調べられるらしい。


だから、わたしは籍を入れたくない。


自由でいたい。

親戚も増えなくていい。



わたしと、パートナーと、子どもだけの関係に誰も入れたくない。


相続のことは、公正証書をつくって対処する。